第23章

事態があまりにも突然だったため、樋口浅子は心身ともに疲れ果て、泣いているうちに眠りに落ちた。

目を覚ますと、彼女は見知らぬ寝室に移されていた。

樋口浅子はこめかみを揉みながら、相澤裕樹が西原貴志を困らせているのではないかと心配になり、西原貴志の様子を尋ねようとした。

携帯を開くと、彼からのメッセージが届いていた。

【浅子ちゃん、用事は済ませたから先に帰ったよ。心配しないで。】

樋口浅子は眉をひそめた。西原貴志がきっと相澤裕樹に脅されたのだろうと察した。さもなければ、わざわざ「心配しないで」などと言うはずがない。

しかし相澤裕樹は一度言ったことは必ず通す人だ。樋口浅子にはどうするこ...

ログインして続きを読む